海辺の読書記 -9ページ目

来てしまった

テスト期間となってしまいました。つまりテストの二週間前。
あまり本も読めなくなるしゲームも出来なくなるなー・・・
まあブログは更新致します(何

くぅ

今日本屋で単行本の「発売情報」を見たのですが、

2005年5月26日  天切り松闇がたり第四巻昭和侠盗

なっ・・・! 文庫版は二巻までしか出てないのに・・・。
まあ、文庫化は大体そんなもんでしょうが、いつまで経っても読めない・・・。
「いっそ単行本を買ってしまおうか」と思いましたが1500円は辛い。図書館でリクエストすると入れてくれるんですかねー

旅のラゴス

ragosu
タイトル: 旅のラゴス
著者: 筒井 康隆

北から南へ、南から北へ・・・。
「この世界」を延々と旅し続ける男、ラゴス。
「この世界」では、高度な文明を失った代償として、人々が超能力を使えるようになっている。集団転移、壁抜けなど不思議な体験をしつつも、ラゴスはひたすら前へ進んでいく。
ラゴスの目的は何なのか? 前へ進み続ける意味とは?

書店で、表紙の絵と文庫の裏の紹介文と手書きのポップ(例のBOOKS 昭和堂です)を見て、一目惚れして買ってしまった本。まずその雰囲気と独特な世界観(SFモノを読み慣れていないためもある)に惹かれた。
まず、僕が一番特徴的だと思ったのが、作品の雰囲気や文章。非常に淡々としていて、海外の作品を翻訳した時のようなものを感じさせるが、日本語に不自然なところはない。
感情の描写は普通の小説よりも少なめで、風景などの描写が多めと言える。情景が頭に浮かび、「この世界」の美しさが、読んでいて夢中になる要因かもしれない。
・・・というような、読んでいる時の、何だか奇妙な感覚が心地よい。(この感覚が苦手な人もいるかもしれない)
ストーリーは、ラゴスの旅の目的に、少し物足りないものを感じた。ネタバレになってしまうので詳細は書かないが、もう少し具体的な目的があっても良かったのでは、と物語の盛り上がりに期待してしまう感があった。

世界観に妙あり。内容が短い上にさくさく読めるので、この世界観にピンと来た方は、ちょっと異世界に出かけるつもりで読んでみてはいかがでしょうか。

読書中の本

毎日書評してるといずれネタもなくなるので、今日は読書中の本紹介でも・・・
文字が小さいのは不安の表れです。心の中でそっと応援していて下さい。

現在読んでいる、五木寛之著の日本人のこころ〈1〉 。半分ほど読みましたが、仏教の話や歴史の話などから、日本人の精神を探っています。
専門書っぽい内容ですが、エッセイに近いので、わかりやすくて面白いです。止まりません。

本屋の話

僕がたまーに行く書店、「BOOKS 昭和堂」。
近くにある「丸善」など大きな書店の方が断然品揃えが良いのですが、ここでは平積みされているいくつかの本に手書きのポップがついていて、「~が好きな人にお勧め」とか、「立ち読みするなら○ページ~○ページ!」と書いてあり、普通の書店ではまず手に取らなかったであろう本と巡り会えます。
立ち読み禁止の書店が多い中、ページまで指定してくれるところにも好感が持てる(笑)

そんな素敵な書店・BOOKS 昭和堂、穴場スポットかと思いきや、ネット等で話題になっている事を最近知りました。
なんでも、白い犬とワルツを という作品は、この書店のポップがきっかけで、発売から三年経っているにも関わらず、ベストセラーになったとか。驚きです。


BOOKS 昭和堂のHP

幻色江戸ごよみ


著者: 宮部 みゆき
タイトル: 幻色江戸ごよみ

下町に住む町人の姿を描く、時代小説短編集。
どの作品も、市井作品に宮部みゆき独特のミステリー色を加えたような作品になっている。

最近話題の、宮部みゆき。僕は、今のところ、この人の本はこの本一冊だけしか読んでいないのだが、その文章の秀逸さ(読みやすく引き込まれる)と、独特なミステリー感はよくわかった気がする。
ただ僕は、「時代小説が読みたい」と思って読んだので、時代小説とミステリーの合体のようなこの作品群は、いまいち「時代小説感」に欠けているような気がして、物足りない部分もあったと言える。
勿論、作品一つ一つがよく出来ていたため「つまらない」と感じた作品は無かった。「宮部みゆきが読みたい」と思って読んだ人はどう感じたかが気になるところ。
ちなみに、僕が一番面白かったと感じたのは「首吊り御本尊」という作品。毎日の辛い奉公に耐える、奉公人の捨末が店の大旦那に呼ばれ、掛け軸に描かれている、首を吊ってにこにこ笑っている男、「首吊り御本尊」について語り始める・・・という話。少し不気味なところが、何とも言えず面白い。

時代小説特有の読み難さがほとんど無い、と思うので、初めて読む時代小説としては最適かと思われる本。

積読本に悩まされつつも100円だと「買う!」と思ってしまうのは仕方のない心理なのです。

asada


今日はブックオフへ行きました。
浅田次郎の文庫本が100円だったので、4冊get!
浅田次郎は感動系の話が多くて面白いので、時々読みたくなります。マイフェイバリット作家です。
 

六番目の小夜子

著者: 恩田 陸
タイトル: 六番目の小夜子


とある高校の、「サヨコ」と呼ばれる奇妙な伝統。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が秘密裏に選ばれ、サヨコになった者は、自分がサヨコである事を他の者に悟られてはいけない。また、サヨコを継承することについて了承した証拠に、始業式の朝、自分の教室に赤い花を生けなければいけない。そういう伝統が、この学校では十数年間続いてきた。
そして、六番目のサヨコが選ばれる年に、津村沙世子という謎の転校生がやってきた・・・。

僕は怖い話(特に和風のホラー)が得意ではないので、学園ホラーものといった雰囲気のこの作品を読むのは少し抵抗があったが、読んでみると内容は意外にも爽やか。少しゾッとするような場面はあるものの、四人の高校生が織りなす青春作品的な要素が強め。逆に言うと、ホラーものを期待した方は少し物足りないといったところか。
青春作品的と言えど、学園の日常をだらだらと書いただけという印象は全くなく、上に紹介した「サヨコ」の伝統を巡り、後半では四人がその伝統を暴かんと動き始めるという盛り上がりを見せる。
バランスの良さやテンポの良さが、この作品の魅力。欠点を挙げると、勢い故に少々無理な展開や、不自然なところがあるという点。また、最後のオチは少し拍子抜けな感じ。

とても読みやすい本なので、一気に読んで読後の爽やか感(すっきりしない事もあるけれど)を味わう、という読み方がお勧めな一冊。

酔って候

著者: 司馬 遼太郎
タイトル:酔って候<新装版>

幕末の動乱の中にあって、自らの知恵をたのみに決断をし、世間の期待を背負った「四賢候」と呼ばれる殿様達。すなわち、土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟。この本には、それぞれの殿様に関する四つの短編を収録している。
短編集ではあるが、この本一冊でひとつの作品であるといった感がある。

僕が気に入ったのは、やはり表題作の「酔って候」
鯨海酔候(常に酔っている鯨の意、らしい)と名乗り、自らの人生を「詩」になぞらえるという、非常に激しく特徴的な藩主であった山内容堂の苦悩・人生観を書ききっている
また、「伊達の黒船」という作品は、藩主というよりも一人の無名人を書いた作品。
器用な傘屋が藩に命じられ、黒船を造るという話で、「幕末のプロジェクトX」という感じで非常に面白かった。

金閣寺


著者: 三島 由紀夫
タイトル: 金閣寺
昭和25(1950)年7月1日、国宝・金閣寺消失。
実際にあったこの事件を基に、「吃り」と人に侮られ、自ら自身の醜さを呪う若い学僧の、「美」への執着を書いた作品。
学僧は戦争中、米軍がやって来て、金閣を焼いてしまう事を夢想していたが、米軍が京都に来ぬまま、金閣が焼かれぬまま、戦争が終わる。「美」の象徴である金閣寺は、再び普遍的な、遥か遠い存在になってゆく。
醜い自分を、いつも遥か遠くから邪魔する金閣。美しいものに触れる事を自分に許さぬ金閣。学僧は、金閣と心中する事を決意する・・・。
・・・ほのぼの小説「夏の庭」の直後にこの作品を持ってきたのは別に故意ではないです(笑)

三島由紀夫の、「美」の研究や思いがつきつめられていて、非常に興味深い作品となっている。
学僧の様々なエピソードを通し一貫して語られているのは、溝口(学僧の名前)の「美」への執着心。それがつまり金閣寺を燃やす学僧の心理へと重なっていく、という構造になっている。
第一章から九章まで、学僧の悩み・美への執着(=金閣を焼くに至るまでの理由・経緯)が綴られているといっても良いので、終章の盛り上がりは凄い。非常に暗い雰囲気の作品なのだが、不思議と読後感が良いのも特徴的な気がした。