海辺の読書記 -7ページ目

村上春樹/1973年のピンボール

著者: 村上 春樹
タイトル: 1973年のピンボール
「風の歌を聴け」の続編。
<僕>が東京で生活をしていると、突然謎の双子の姉妹が転がり込んできて、共同生活をする事となる。
一方、<鼠>は、昔と同じようにジェイズ・バーに通いながら、悩みを抱えつつ生きる。
二人はそれぞれの人生を歩み、たくさんのものを失っていく。

何というか、比較的今作の方が展開らしい展開が有った(双子の姉妹の事や、ピンボールを探しに行くところ等)ため、風の歌よりもこちらのピンボールの方が面白く読めた。

今作では<僕>が東京で暮らしている事で、現在に行き詰まっている<僕>と、過去に囚われている<鼠>の、それぞれの思いが対照的に(?)書かれていて、作品全体に流れる喪失感も伝わりやすかった。

「風の歌を聴け」を読んだら間を置かずに読んで下さい。

村上春樹/風の歌を聴け

著者: 村上 春樹
タイトル: 風の歌を聴け
村上春樹のデビュー作。
1970年の夏、久々に海辺の街に帰省した<僕>が、「ジェイズ・バー」で友人の<鼠>とビールを飲んだり、恋をしたりしながら送る青春の日々と、全てが過ぎ去っていってしまう事への喪失感を書く。
村上春樹の「三部作」と呼ばれる作品群の幕開け。

正直なところ、僕は逆にこれといった展開のない単調な感じが少し苦手だと感じた。しかし文章が上手かったり会話にセンスがあったり(成る程、というような上手い比喩表現が多い)するので、読む事が苦になる事はまずない、と思う。

自分でどう転ぶかわからないと思った事も、結局落ち着くところに落ち着いてしまったりする。
単調な日常だと思っていた事が、少し離れると本当に遠い存在になってしまったりする。
<僕>と<鼠>が何となく感じている、悩みや虚しさを、しつこい感じを残さず、素っ気なく書いているのが良い。

「三部作」を読むならここから。<僕>と<鼠>はずっと登場します。

日記。

<今日のできごと>
学校の選択授業というやつで、「文章を書く」というテーマの授業があるのですが、その時間にエセ時代小説を書いております。
しかし、小説も書いた事が無い者が時代小説など無理があった・・・。時代考証は滅茶苦茶、展開は唐突。もうどうにでもなれです。
早めに切り上げて次の作品に・・・(ぉ

<気になること>
amazonで本を見ていると、「ユーズド価格」で恐ろしく安い本とか有りません?
海外作家とかが多い気がしますが、何と1円の本もあったり。配送料の方が何倍も高い(笑)
本を処分したいという理由で売ってるんでしょうか? それとも必死で郵政公社を応援しているのでしょうか(それは無い)
そういう恐ろしく安い本をまとめ買いすればかなり得なのでは・・・。

<現在読んでる本>
村上春樹の三部作と呼ばれてるやつを読んでおこうと思いまして、「風の歌を聞け」「1973年のピンボール」を読み終え、現在「羊をめぐる冒険を読もうかと思っているところです。
風の歌を聞けの方は、これといった展開がないのでちょっと苦手でしたね(世代が違うという事も有る)。ピンボールは結構良かった。

カフカ/カフカ寓話集

著者: カフカ, 池内 紀
タイトル: カフカ寓話集

「変身」で有名なカフカの短編を収録した本。「寓話集」とあるが、別に寓話という言葉にこだわっている訳ではなく、この本よりも前に出た「カフカ短篇集」という本があるため、区別するために「寓話集」としたらしい。

正直なところ、難解なために収録されている短編のうち半分くらいしか理解出来なかったが、結構長めの「巣穴」、「断食芸人」という作品と、いくつかの非常に短い(1,2ページくらい)短編は面白かった。
「変身」と「城」は有名なカフカだが、他の短編等はあまり知られていない。しかし短編は「大人の童話」(矛盾してるけど)といった面白さがあり、単純に面白かったり、考えさせられるものがある。

今回は、収録されている中で恐らく一番長い「巣穴」という作品について紹介させて頂く。
この作品は、地中に巣穴を掘って住んでいる生き物(僕はモグラだと思ったが、明示されていないのでどんな生き物を想像しても良い)の一人称によって書かれている。
静けさと安全を愛する主人公が巣穴に居ると、物音が聞こえ始める。小さい生き物か? それとも自分を喰らってしまうような大きく凶暴な生き物なのか?
穴をどう改良すれば良いか、どうすればこの危険を回避すれば良いのか、等と言った主人公の葛藤を書いている。
そもそも、別に外敵が迫っている訳ではないかも知れないのだが、主人公の妄想はどこまでも広がっていく。この作品に限らず、カフカの小説は不安や妄想に溢れていて、恐ろしかったり、共感する点があったりして非常に面白い。

テスト

アゝツカレタ。

<今日のできごと>
本日は学校の中間テストを受けて参りました。まあそれなりには出来たんじゃないかと。
とりあえずこれで(二週間後のテスト期間まで束の間の)自由の身だー!
・・・太字のカッコの中が気になりますが、気にしてはいけません。
例え光が見えても、油断して後ろを振り向いた途端に冥界に引き戻されてしまうのが学生の現状なのです(激しく脱線)

<現在読んでる本>
早速、買ってきたカフカ寓話集 を読んでおりますが半分は意味がわからず。
というか一編がかなり短く、1~2ページくらいで終わってたりします(詩に近いものがある)
しかし「巣穴」という結構長いやつは面白く、何かの穴を掘る生き物が物音を聞きつけ、「自分を脅かす存在が迫ってるんじゃないか」と延々と被害妄想や予測を繰り返す、というお話。
基本的にカフカの小説は妄想に溢れているのですが、そういうところがなんか好きです。

アー

風の噂によると、近所に新しい住人がやって来たらしく。近所って言うかうちの斜め前でして。

噂1・・・その筋の方らしい。
噂2・・・腕に彫り物が有るらしい。
噂3・・・奥さんは外国(アジア系)の方で、日本語は喋れないらしい。その奥さんが一人で何かの歌を歌ってたらしい。
※嘘っぽいけど本当です。ネタじゃないのです。

そういえば引っ越しの時にちょっとガラの悪い方々が出入りしてたなあ・・・。あと今日思いっきり子供を叱りつける声が聞こえたし。
すれ違った時とかどうしよ。「あ、この人が!」という一瞬の納得の表情を相手に悟られたらどうしよう・・・。「何見てんだコラ」みたいな。
あーどうしよ・・・・・。

海辺のカフカに影響されすぎな自分がいる

あーテスト近いのに何やってんだ自分。

<今日のできごと>
本日はブックオフへ行きました。
ブックオフはたまーにチェックすると丁度欲しかった本が100円だったりするのです。最近店員の業務態度がおかしいけども。(仕事中に二人で談笑してたり他の店員の陰口言ってたり全体的に「あんたら友達同士でバイトすんなや」って感じだったり・・・それについては別の機会にまとめて書く所存に御座います)

「海辺のカフカ」を読んだら面白かったので、村上春樹の本を購入。
あとカフカの本が読みたかったので探してたら(これも例によって海辺のカフカに影響されたという)、「カフカ寓話集」なる岩波文庫の本があって購入。大体「変身」しか置いてなかったりするのでラッキーでした。

<最近読んでる本>
先週から読んでた保坂和志の「プレーンソング 」という本を読み終わったので、カフカ寓話集を読もうかと思います。

<誤解されてる方がいらっしゃるかもなので>
タイトル通り海辺のカフカを読んだら色々影響されてしまった(村上春樹とかカフカとか大公トリオとか)僕ですが、当ブログの「海辺の読書記」という名前はそれにちなんでつけた訳ではないです。偶然の惨劇です。

大公トリオ

海辺のカフカに出てきた、ベートーベンの「大公トリオ」とやらが聴きたい。明日ツタヤが半額っぽいので、借りに行きたいんですが。
しかしクラシックの知識など皆無なので、CD屋へ行ってもどれが海辺のカフカに出てくる「大公トリオ」とかいうCDなのかわからないのです。ホシノくん(登場人物です)よく見つけられたなー。

ていうか「大公」って何だ?
あと「トリオ」って何?





・・・・・・・要するに何もわからんのです。

森見登美彦/太陽の塔

著者: 森見 登美彦
タイトル: 太陽の塔

「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。なぜなら私が間違っているはずがないからだ。」

京都が舞台の青春小説。
変わり者揃いの友人達、後輩への恋、膨らむ妄想。現役京大生が書く、ひねくれた学生の物語。

この作品ほど、読んでいて笑いが止まらない作品はないのではないかというくらい、終始笑える。
文章で笑わせるというのは難しいと思うのだが、固い文体で妄想全開に語るモテない学生の姿が可笑しくて仕方がない。
主人公を取り巻く、友人達のその変人ぶりといったら凄まじいもので、皆一癖も二癖も持つ男達で、一人ひとり本当に面白い。
青春モノの作品は「爽やか」という印象を受けるものが多いが、この作品は寧ろ逆で、作品の最初の方でも作者自身「男汁にあふれ、読了したあかつきには体臭が人一倍濃くなっているはずである」等と恐ろしい表現をしている(笑)

塩は男なので「あー男ってこうだよな」と共感する部分が有ったが、女性が読むとどのような印象を受けるのか気になる。(しかしまあ女性が読んでも笑い転げる、と思う)

集英社文庫 のHPをチェックしたところ、「天切り松」の第三巻が来月文庫化されるらしい。
・・・待ってましたー!
近々四巻が出る、という時に出るので、大体一巻遅れで出る感じなんですかねー。