村上春樹/世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド | 海辺の読書記

村上春樹/世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド


高い壁に囲まれ、鳥以外出ることの出来ない街で暮らす事になった<僕>の「世界の終わり」。
科学者に思考回路を組み込まれた<私>が、とある組織から逃げつつも自分の回路の秘密を知ることとなっていく「ハードボイルド・ワンダーランド」。
二つの物語が同時進行し、交わっていく・・・。

「海辺のカフカ」と同じく(というかこちらの方が先に書かれた)、二つの物語が同時進行するという形式をとっているということで、期待して読んだのだが、やはり期待を裏切らない良い作品だった。
「世界の終わり」では、平和で争いがない街を描き、街の人々や、自然の描写が細かく書かれ、静的な物語が進む。
一方「ハードボイルド・ワンダーランド」では、主人公の<私>を追っている組織や、”やみくろ”という地下に住む生物等、<私>を次々と襲う危機を描き、終始緊張感のある物語が進む。
二つの物語が交わった時、この対比の意味がよくわかる、という造りである。

読み終わった時に「カチッ」とパズルのピースがはまるような感覚があり、それと同時に「ここはどうなっているのか」「あの時主人公はどうしてああいう行動をとったのか」というモヤモヤした感覚が襲う。まだ読み残している作品も多いものの、これが村上春樹の小説の良さかなーと思う。
ところで続編が出るというような話を小耳にはさんだが、どうなんだろう?

追記・・・ひょっとして「海辺のカフカ」がこれの続編にあたるのかな? 影とか、森とか、似たところがあるし・・・。あー、海辺のカフカもう一回読もうかな。
ていうか誰か教えて下さい(切実に)