浅田次郎/天切り松 第三巻 | 海辺の読書記

浅田次郎/天切り松 第三巻

浅田 次郎
天切り松 闇がたり3 初湯千両


浅田次郎「天切り松」シリーズの三巻目。今回は今まで名前だけでまともに登場していなかった、「仕立て屋銀次」が登場する。

三巻目になっても天切り松の面白さは衰えない、どころか、それぞれの登場人物像が更に深まっているように思える。

この本に収録される話で、僕が最も気に入ったのはやはり「銀次蔭盃」。名前だけ出てきてまともに登場しなかった「仕立て屋銀次」が登場する。

天切り松が持つ、親分子分の契りの証である盃の話から始まるのだが、天切り松は何故か二つの盃を持っている。一つは地味(?)な素焼きの盃、これは安吉親分のもの。もう一つ、天切り松は銀の盃を持っていた。これこそが「仕立て屋銀次」の盃である。
では何故天切り松は、渡世にあるまじき「二つ盃」をしていたのか・・・?

という感じで展開するのだが、この話のラストシーンは本当に感動する、というか、読んでいて鳥肌が立つ出来である。