夏の庭 | 海辺の読書記

夏の庭

著者: 湯本 香樹実
タイトル: 夏の庭―The Friends
大人も子供も感動出来る素朴な童話。
小学6年生の少年3人組が、町外れに住む老人の「死ぬ瞬間」を見るために観察し始める。少年たちが観察し始めた頃は今にも死にそうな、張りの無い生活を送っていた老人は、日に日に元気になっていき、少年達はいつしか老人と深い交流をするようになっていた。

この作品には、「小さい」事に色々な良さが集約されている気がする。
「小さい」というのは、例えばどこにでもいるような少年たちと、どこにでもいるような老人の、小さくもかけがえのない交流など、この作品では、ほんの僅かな人達の、ほんの僅かな時間をクローズアップして書いている。
また、この文庫は字が大きい上に、僅か200ページ程しかないため、1日読んでいれば読み終わってしまうが、少年たちの夏が短くも充実しているように、内容はとても充実していて、少し読んだだけでこの作品の世界に浸ってしまう。

爽やかな読後感を求めている方に是非お勧めしたい一冊。優しい気持ちになれます。